ミーハー女子がゆく。京都「ヴィパッサナー瞑想修行」体験。

旅人に人気の「ヴィパッサナー瞑想修行」

 

「京都にヴィパッサナー瞑想というものを体験できる施設がある」という話は旅人の間では有名でした。

ヴィパッサナー瞑想とは簡単に言えば、ブッダが悟りを開いたと言われる瞑想です。(詳しくはこちらに載っております)

海外にも施設があるらしく、外国人も多く参加していて、旅の途中に施設に寄ったりもするみたいなのです。

聞くところによると10日間誰とも口を聞いたらいけず、目を合わせることもできない。

食事は完全なベジタリアンメニューで、そこで出る食事がものすごく美味しく、ついつい食べ過ぎちゃうくらいというではありませんか。

その施設は寄付によって成り立っているらしく、参加費も自由な額を寄付すれば良いということです。

そんな不思議な施設があるなんて、好奇心旺盛で、非日常的なことを常に求めている私が食いつかないはずがありません。

仕事を辞めたのをきっかけに、思い切って京都へ瞑想修行に行くことにしたのです。

瞑想がどう良いのかは分からないけれど、心の中がなんかスッキリしそうな気がする…。

 

当時は、精神的にきつい時期で、頭の中でグルグルグルグルと強迫観念のように嫌な感情や、辛い気持ちがエンドレス再生されていた時期でした。

体調を崩し、精神的に不安定で、毎晩悪夢を見てしまうほど参ってしまう経験はこれが初めて。

これはチャンスだと思い、京都へ瞑想修行に行き精神の回復を図ることにしたのです。

(これをチャンスと取った時点で、実はそんなに精神的に参ってなかったのかもしれません)

ベジタリアン食によりダイエットできたりして…なんて淡い煩悩も脳裏をかすめます。

 

コースの予約はHPでできるらしく、日程を見るとだいぶ先まで予約が埋まっている様子です。

こんなに人気があるってことは、きっと何か良いのだろう。

そんな期待を抱き、何ヶ月か先の日程に申し込みました。

持って行くもののリストや最終確認のメールが届けばあとは行くだけです。

施設への行き方もご丁寧に書いてあり、道に迷う心配もなさそう。

九州から深夜の高速バスに乗り込み、いざ京都へ出発です。

 

やばい…私、間違ったところに来てしまったかも

 

早朝に京都へ到着。

観光したり、ランチをしたりして時間を潰し、夕方に向けてダンマバーヌという京都の山奥へ出発しました。

京都駅から電車で園部駅というところへゆき、そこからバスで桧山(ひのきやま)へ向かいます。

その桧山バス停でダンマバーヌから車でお迎えに来てもらうという手筈になっています。

 

京都駅から園部駅へ向かう電車の中で、窓の外の景色を見ながらワクワクした気持ちでいました。

これから私は、携帯も使えず、誰とも口を聞くことができない、摩訶不思議な世界へ突入するのだ。

園部駅へ到着して見ると、他の参加者かと思われる人がちらほら見受けられます。

麻の服に坊主頭の人、大きなバックパックを背負った旅人風の人など、少し怪しい空気を漂わせています。

海外にいた時はさほど気になりませんでしたが、しばらく日本社会で過ごし、改めて彼らを眺めると少し異質な雰囲気を感じてしまうのでした。

こちらはといえば真っ赤なスーツケース片手にお気に入りのコートを羽織り、先日染めたばかりの髪をサラサラ風になびかせ、まるで海外旅行にでも来たかのような気分のいでたち。

やばいこれはもしかして悟りとかを本気で目指しているガチな人しか来てはいけない場所なんじゃ!

ちょっと日常に飽きて来たしぃ〜、そんでもって悩みもあるしぃ〜、少し非日常空間に身を置いて現実逃避でもしちゃおっかなぁ〜みたいな甘い考えの人間はもしかしたら私だけかもしれない…。

麻の服に坊主頭の男性なんて、宗教的匂いがプンプンするし、なんかガチ中のガチという感じがしてしまう。

あまりミーハーな人間ではないと思っていたけど、なんだか自分がとても世俗的な人間に思えてしまう。

そして、これから向かう瞑想施設は私のような人間もいるのだろうか…。

バックパック一つで身軽に来ている旅人たちとともに、なかなか来ないバスを大きなスーツケースとともに不安げに待つのでした。

 

胸が踊る出会いに煩悩が動きだす

 

到着してみると、やはり旅人風が多い印象で、麻の服を着ているベジタリアン風の人も多い。

しかし、よく見ると大きなスーツケースを抱えた人もいるし、外国人も2割くらいいる。

セクシーで俗っぽい飲み屋のお姉さん風の人に、妊婦さん、どこに生息しているのか不思議な日本のヒッピー、タトゥーの入った腕にファンキーなファッションのお姉さん

結構いろんな人が来るんだなぁ〜とひとまず安心しました。

職業もみんな様々で、旅人から大学生マッサージセラピストアーティスト自然療法士マクロビの先生などのラインナップ。

1部屋8人くらいの人数でこれから一緒に寝泊まりするのだから、参加前からこんなに話していては気が散ってしまいそうな気もするけど、同じ時期に同じ場所に集まった気の合う人たちなのだから、これが結構楽しい。

もうこのままみんなで楽しく10日間過ごしたい気分にさえなってくる。

地元にいては出会えない人たちばかりに久々にテンションが上がるのを感じました。

しかも、男性の奉仕者の中に笑顔の素敵なイケメンがいてるではありませんか。

瞑想をしているせいか、穏やかで平和な表情と、ゆったりした空気感がなんともいえません。

身につけている服や、身のこなしもなかなか素敵なんです。

 

あれ…これって一目惚れってやつ?

 

まだ無言の行も始まっていないのに、私の煩悩はMAXを迎えました。

あぁ〜これで修行に身が入らなくなってしまった。

イケメンくんは奉仕の精神溢れる、仏のような人かもしれない。

こんな俗な女を相手にしてくれるのだろうか…。

 

まぁ、そんなこともあろうかと、この施設では男女は口を聞くことができず、食事の施設と宿泊施設は別々になっています。

夫婦やカップルで参加する人も結構多いのですが、もちろん10日間は話すことも触れることもできません。

唯一、瞑想ルームでは同じ部屋になるのですが、男女しっかり分けられており、もちろん無言の行をしているため会話なんてできません。

せっかく悟り系イケメンに出会えたのに、この恋が実るチャンスはゼロに等しいのです。

素敵な出会いがあるのに、10日間話すことも、目を合わすこともできない。

さぁ、瞑想修行のスタートです。

 

苦しい!!! このままでは発狂してしまう

 

初日の夜から無言の行は始まります。

食事の時も、シャワーの時も、もちろん会話はできません。

毎朝4時に起床し、4時半から瞑想開始。

朝食をとったら休憩をし、また瞑想。

昼食休憩の後にまた瞑想。

午後5時にフルーツのみを食し、その日の食事は終わり。

シャワーなどを済ませたら、また瞑想して、講話を聞いて9時半に就寝するのです。

午後5時にりんごとバナナだけしか食べてないものだから、夜中にお腹が空く。

しかも、講話の時間なんてとてもじゃないけど起きてられないくらい眠い。

 

とにかくお腹が空くし、眠いし、ひたすら皮膚の感覚を観察する瞑想ばかりしている!!!

意味不明なマントラは流れてくるし、足は痛いし、ゴキブリが出ても殺しちゃいけないし … ちょっとしんどくなってくるのです。

無言の行とは本当によく考えたもので、黙っている時間が長いほど、自分が頭の中で考えていることがすごく気になってきます。

この人真冬なのになんで半袖着てるんだろう、あ〜昼食まだかなぁ〜、帰ったら何食べようかなぁ〜、この人いっつも瞑想してるけど何者なんだろう、瞑想の先生居眠りしてるような気がするな、そういえばあの時私あんなこと言ったけど間違ってたかなぁ、あの時のあれだけは許せないな、あっミスチルの歌が止まらなくなってきた…

と今度は脳内DJが色んな曲を流し始めるのです。

頭の中は浮かんでは消えてゆく思考で、カオス状態。

 

あ〜頭の中が考え事でいっぱいで、パンクしそう! このままでは発狂する〜!!!

 

だんだんと自分の思考に疲れ始めてくるのです。

他の参加者も頻繁に席を立ったり、そわそわしたり、サボって部屋で居眠りしたり、部屋に食べ物を持ち込んだりと、結構ツワモノもいる様子。

 

なぜに君たちはここへ修行に来たの?

 

想像以上に辛かった故の行動なのか、こんな謎が再び頭の中を駆け巡ります。

頭の中の声に苦しみ、瞑想の先生に相談するも「その思考を観察してください」という答えのみ。

 

発狂しそうな日々は徐々に落ち着いてくるのですが、話したくてたまらないのに話せない辛さ。

頭の中の声にノイローゼになりそうな日々。

思考を観察することに集中できない日々は静かに過ぎてゆきます。

 

瞑想中に起こる不思議な出来事の数々

 

ヴィパッサナー瞑想に参加すると、色々な不思議体験というか心の浄化が起こると聞いていたので、楽しみにしていたのですが、個人的には特にそういった涙が止まらなくなったとか、怒りが溢れてきたとか、ビジョンが見えたなんてことは一切起こりませんでした。

まぁ、瞑想に集中できずに悟り系イケメンを横目で見たり、脳内で音楽の再生を楽しんでいた私にそんなことなんて起こるはずないのかもしれませんが。

10日間で最大のスピリチャルな事件は、美輪明宏さんが「微笑みの首飾り」という本を家まで届けに来てくれたという夢を見たことくらいです。

 

「美輪さん!!!! 持って来ていただいたんですか!!! amazonで注文したのに、お手数をおかけして…恐縮です!!!」

 

なんて言いましたよ、私。

しかし、色んな夢を見るというのはヴィパッサナー瞑想をしていると結構あるらしくて、潜在意識かなんかが表面に浮かんでくるのかどうか忘れたけど、悪夢を見たり、濃い夢を見ている人は多かったです。

スピリチャルっぽい参加者も多いのですが、龍が見えた、涙が溢れて来た、皮膚の感覚がなくなった、ワンネスを経験したなど色々なことがあってたみたいですね。

あとは不思議な自然現象が起こります。

私が参加していた時は、初日と最終日に地震が起こり、なんだか神がかり的なものを感じてしまいました。

あとは、台風のような風が急に吹き出す日があったりしました。

偶然かなぁ〜なんて思いましたが、10日の間にこういう自然現象が起こる日が1日あったりすると、瞑想の先生もおっしゃっていました。

密かに不思議体験を期待していったのに、何も起こらなかったのですが、もっと真剣に瞑想に集中していれば、何かあったのかもしれません。

 

ヴィパッサナー瞑想をするとどうなるのか

 

ヴィパッサナー瞑想を続けると病気が治ったり、精神が安定したり、平和な気持ちになったりするとは聞いていたのですが、実際に瞑想を続けている人に話を聞いてみたいと思っていました。

10日間の瞑想修行が終わると、ようやく話をすることができるのですが、その時に何年も瞑想を続けているという参加者の方がいましたので話を聞いて見ました。

彼女は普通の会社で働くOLさん。

美しい顔立ちに優しげな雰囲気、白色の淡い洋服を見にまとい、幸せそうな様子は、もう妖精にしか見えない!!!

草や花や鳥たちときっとお友達なんだろうなぁ〜というイメージ。

そんな彼女はヴィパッサナー瞑想にはもう10回以上参加しているらしく、瞑想を続けたことで恐怖心というものが無くなってきたと言っておりました。

選ぶ洋服も変わり、黒い服は身につけなくなったとのこと。

「考え方も生き方も変わった」と幸せそうに言っています。

参加してみて気づいたのですが、初めて瞑想に来る人と、何度か瞑想に来ている人とでは顔つきや雰囲気が違います。

なんども来ている修行者は古い生徒さんと呼ばれていますが、古い生徒さんは穏やかで柔らかな雰囲気に、ゆっくりとした動きをし、白を基調にしたソフトな服を身にまとっています。

私は「妖精さん」と勝手に命名しておりました。

恐怖心、不安、心配、怒り、悩み、これらの感情が消えてしまうことは無いのかもしれないけれど、うまく処理できるようになる能力は身につくのかもしれないなぁ〜と感じたのでした。

 

ヴィパッサナー瞑想を終えてみて気づいた自分の変化

 

10日間の瞑想修行が終わると「聖なる沈黙が解かれました」的な張り紙が貼られます。

「リアル修行ゲーム」みたいだったなぁ〜と軽薄な私の煩悩が独り言を言います。

参加者たちは、咳を切ったかのように次から次へと会話を始めます。

私も久々の会話に息切れはするし、結構エネルギーを消耗して疲れるのですが、話すことが楽しくて楽しくてたまらないのです。

「3日目のあの日あんなこと起きたよね〜」「どんな感じだった?」などおしゃべりな女たちは話がつきません。

改めて参加者のバックグラウンドが分かったり、10日間のそれぞれの瞑想修行を聞いたりと、口は忙しく動きます。

最終日には食事の内容も豪勢になってますし、そして相変わらず美味しい。

 

しかし、一通り話し終えると、少し静寂が恋しくなって来ます。

みんなの話す声がただの騒音に聞こえてしまい、耳障りなのです。

よく見てみると、会話に加わらずに瞑想ルームで瞑想を続けている人もいます。

古い生徒さんは、ギャアギャア喚かずに天使のような穏やかな様子で、静かに会話をしている様子。

みんなのエネルギーに私の心もドキドキしてきます。

なんとなくですが、身体が敏感になっている感じがしました。

 

その後、施設を出た後も街中の音やカフェで話す人の声がかなり気になることに気づきました。

そして、京都駅のショッピング街の騒音に囲まれていても、心の中に静かで穏やかな湖の水面があることに気づきます。

どんなものにも心乱されない不動の心がそこにある。

自分の軸がしっかりしたというか、今ここに全てのエネルギーが集約しているような、地に足がついたような感覚がある。

周りで何が起ころうが、自分の中心軸がしっかりあるので動揺することも、嫌悪感を抱くこともない。

これは施設を離れて初めて気づいた感覚です。

あまりちゃんと瞑想できていなかった気がしていたけど、あの10日間はそれなりに意味があったのだと実感したのでした。

 

その後、仲良くなった他の参加者と早速お肉を食べたり、ケーキを食べたりして、京都駅で解散。

もう二度と会うこともないかもしれないけれど、彼らは今どこで何をしているのかなぁ。

 

そんな私は、九州に戻ってから瞑想をすることはだんだんとなくなり、現在も煩悩だらけで生きております。

地に足をつけ、働き、肉を食べ元気に生きています。

「瞑想修行には二度と行きたくない!」と思っていたのですが、たまにあの空間が懐かしくて戻りたくなることがあるから不思議なものです。

一年以上あの施設で奉仕活動をしている人もいるらしいのですが、今のところ私は俗世で生きることが何よりの修行

 

こんな荒行ありません!!!!!

 

むしろ、京都で俗世から離れて暮らした方が私にとってはとても楽な気がします。

 

しかし、そんな荒野で生きて行くためにこそ、ヴィパッサナー瞑想というのは役に立つツールの一つなのかもしれません。

10日間俗世から離れるからこそ見えて来るものもあるし、講話はとても眠いけど結構すごいことを聞けて、私の固定概念に少しヒビが入りました。

マントラが流れて来たり、前世とか量子力学の話とか出て来て怪しい雰囲気は否めないですが、個人的には行って良かったと思っています。

あの摩訶不思議な空間が非日常的で結構楽しかったというのが、正直な感想かもしれませんが、きっとまた行く日が来るような気がします。

 

ヴィパッサナー瞑想については本も出ているので、興味のある方は是非読んで見てくださいね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

 

  

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です